請求できる養育費の範囲及び時効

強制執行をせずに放置を続けた場合、強制執行どころか養育費を請求する権利すら消滅してしまう可能性があります。このように、時間の経過によって権利が消滅してしまい、相手に請求できないことを時効といいます。では、この時効はどのように成立するのでしょうか。

例えば、離婚の際に養育費についての取り決めを行い、公正証書として残していた場合、養育費の支払いについて滞りがあったとしても養育費に関する公正証書をもとに強制執行を行えますが、強制執行に関する手続きも手間であるし、金銭について切迫した事情もないことから、深く相手を追求せず放置していました。しかしその後子どもが成長し、大学進学を視野に入れるようになってきたあたりになり、入学費授業料等で大きな出費が予想されるため、本来支払うはずでありながら支払っていなかった養育費についてまとめて請求しようとしても、時効の過ぎた分については請求できないといった事態に陥ってしまうケースが考えられます。

このように、養育費の請求を忘れたまま時間が過ぎたりすることは決してありえない話ではないため、養育費の請求権を持っている方は、時効期間が過ぎて請求できなくなることがないように注意しましょう。

さて、この時効についてですが、請求できる時から10年を過ぎた分については請求できないと定められています。つまり、養育費の取り決めが完了した直後から、時効の計算は開始しますので、養育費の取り決めがなされただけで安心することはなく、実際に養育費を支払ってもらえるところまで求めましょう。一度養育費を支払われたら、経過していた時効の計算は再びリセットし、再び時効の計算が一から始まることになります。

時効というものは、基本的にこまめで継続的に養育費を支払ってもらえるようにしているか、養育費の取り決めを行ってからすぐに支払いを開始してもらっているような場合にはさほど問題となりません。もっとも、何かの事情で養育費を支払ってもらうことなく過ごすことも考えられますから、もしそのような事態が生じている場合は、早急に相手へ養育費の支払いを請求し、時効の進行を停止させる必要があります。

特に、養育費の取り決めまでに、調停や裁判等負担の大きい制度を利用してやっと手に入れたような場合にも関わらず、時効によってその養育費を請求する権利が水泡に帰してしまうのは、好ましいことではありません。そのため、養育費を受け取る側は、養育費の支払いについてシビアな態度で挑むべき、と言えます。

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