離婚裁判の流れ

このページでは、離婚裁判がどの様な流れで行われるのかについて解説したいと思います。

離婚裁判の流れについて

まずは、離婚裁判の流れについて、裁判開始の場面から、具体的な訴訟の流れについてそして、裁判所が示す判決には効力が発生するのか等についてその概要を説明したいと思います。この項目では、法律に定められたルールについての説明が多いため、中には難しい部分もあると思いますが、実際に裁判による離婚を検討している方は、依頼先の弁護士との相談の中で説明を受けられると思いますので、その準備としてご覧いただければ幸いです。

裁判の開始まで

調停を行わないと裁判ができない

日本は、離婚裁判について調停前置主義を採用しています(家事審判法17条〔家庭事件手続法244条〕、18条参照〔家事事件手続法257条〕)。調停前置主義とは、その名前の通り、訴訟を行うためにはその「前」に調停の機会を設ける(「置」く)必要があるという考え方です。そのため、訴訟の提起を行うためには、あらかじめ離婚調停を行うことが求められています。

離婚調停とは、離婚の成立等について争いが生じている場合に、家事審判官1名と調停委員2名の合議体である調停委員会が間に入りながら、話し合いを行うことをいい、その調停で離婚の合意が行われた場合、その合意について記載した調停調書は「確定した判決と同一の効力を有する」(家事審判法21条1項〔家事事件手続法268条1項〕)とされています(詳しくは、離婚調停の心得を参照してください)。

以上から、離婚調停が不成立であった場合に、当事者は裁判所に対して離婚裁判を行うように訴えることができるのです。

裁判の開始

裁判所に訴えを提起するためには…

裁判を開始するためには、裁判所へ訴えを提起する必要があります。訴える先の裁判所は、平成16年に改正人事訴訟法が施行されてからは、家庭裁判所に対して行うことになっています。

裁判所へ提出する資料

訴える際に用意をしなければならないものとしては、次の4点が必要となります。

  1. 訴状
  2. 離婚調停が不成立であったことを証明する調書
  3. 夫婦の戸籍謄本〈裁判費用〉
  4. 収入印紙

提出された訴状は、訴状として適切な記載事項が記入されているか、裁判所によって形式的に審査がなされ、問題がない場合にはその訴状が裁判所から訴えの相手方(以下、「被告」とします)へ送付されることになります。訴状が送られてきた被告は、訴状に記載されている内容について、認否(文字通り、相手側の主張を認めるか否定するか)自身が裁判でどのような立場に立つかどうかを答弁書にして裁判所へ提出します。ここまできて、ようやく皆さんがよく想像される裁判所の法廷で審理を行う口頭弁論というものが行われることになるのです。

口頭弁論

初回の口頭弁論のことは「第1回口頭弁論」と呼ばれます。第1回口頭弁論では、原告が提出した訴状、および被告が提出した答弁書についてそれぞれ陳述を行ったり、証拠の提出が行われたりします。

そして、たいていの訴訟では1回の口頭弁論では十分な審理が尽くされないので、後日に必要に応じた回数の口頭弁論が開かれることになります。ペースとしてはだいたい1か月から1か月半に1回のペースで口頭弁論が開かれることになります。口頭弁論では、裁判官により争点が整理されたうえで、双方から証拠の提出が行われます。どのような証拠を提出すべきかについては後述いたしますので、そちらをご覧ください。

そして、口頭弁論を繰り返していくうちに、裁判所が十分な審理(=議論)が尽くされたと判断した段階になると、裁判所は口頭弁論の終結を宣言し、審理は終了します。

判決の言い渡し

審理の終了後、裁判所は判決を言い渡す期日を宣言したのちに、判決文を作成します。そして、判決言い渡し期日に裁判所から判決が言い渡されるのです。具体的に、離婚の成否が争われている場合には、離婚を認めるか否かについて、また付随して争われている点についても、当事者が主張した事実や提出した証拠に基づいて裁判所が事実認定を行い、判決により示されることになります。

判決後の対応

判決が示された日から、2週間が経過しても控訴(判決に対して異議があり、控訴する旨の意思表示)の無い場合には、判決が確定し訴訟が終了することになります。判決が確定した場合は、判決確定日から10日以内に市区町村長に対して、離婚届をはじめとする諸書類(判決謄本・確定証明書等)を提出しなければなりません(「報告的届出義務」といいます)。

一方で、裁判所の判決した内容に不服がある場合には、裁判所に対して判決言渡期日から2週間以内に控訴をすることができ、控訴がなされた場合には、第二審(控訴審)の手続きが開始することになるのです。

判決以外の解決の道も―和解という選択肢―

裁判で争いをしているからといって、必ずしも判決による決着しかないわけではありません。例えば、裁判所の口頭弁論が繰り返されていく中で、裁判所から裁判上の和解の提案がある場合があります。その提案を受け入れると、裁判官が提示した和解案をもとに、当事者双方が互いに譲歩しあいながら交渉を行っていくことになります。もし、和解が成立した場合には、確定判決と同様の効力を有することになります。

裁判に至るまでに、既に裁判官らを仲介人とした離婚調停を経ていることから和解が合意に至るケースは少ないのではないかと考えられる方もいますが、意外に和解がなされることは少なくないのです。調停で話し合いをしていたころと異なり、離婚裁判が行われている時点では、紛争が生じてから一定期間の時間を経ていることもあり、心理的な対立感情が和らぎ、互いの今後の人生について冷静に考え直すことができているケースが多く、また、口頭弁論を繰り返していくうちに訴訟の見通しも明らかになるということもあり、和解という選択肢で解決を行うことがある意味合理的であるという結論に至ることもあります。いずれにしても和解交渉に臨むかどうか、実際の交渉をどう進めていくかについては、依頼先の弁護士とよく相談をしたうえで臨むべきであると考えます。

以上が離婚裁判の大まかな流れとなります。ここまでの記載内容を図にまとめたものを、最後に掲載します。全体の流れの把握に活用していただければと思います。

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